Naoya Enokida

ThinkSpace AIネイティブ化チャレンジ総括:AIネイティブになったのはアプリではなく開発者の方だった話

7 月 2 日、私は X にこう書きました。「ThinkSpace を AI ネイティブに超絶進化させる」。

そこから 3 ヶ月、「1 人 + AI で ThinkSpace を AI ネイティブに作り替える」というチャレンジを行いました。結果、プロダクトは AI に任せすぎない方向へ舵を切り、AI ネイティブになったのはアプリではなく、自分の方でした。その 3 ヶ月の記録です。

なぜ 3 ヶ月チャレンジを始めたか

私は 10 年以上、1 人で個人アプリを開発してきました。書いたコードは 24 万行に及び、アプリは 100 万ダウンロードを達成しました。海外の企業から買収の提案が来たこともあります。

しかし、個人でグローバルなプロダクトを作ろうとすると、どうしても海外、特にシリコンバレーのスタートアップとの競争になります。マーケティングやグロースの面で、個人の限界も感じていました。

一方で、生成 AI の登場は、一個人にできる範囲を大きく押し上げました。

AI を使って新しいプロダクトをどれだけ速くリリースできるか試したところ、Claude Code が出る前のチャット AI でも、企画からリリースまでが実働 5 日ほどで済みました。企業の現場に生成 AI を導入する仕事では、28 段階からなる AI エージェント・ワークフローを 1 人で構築することができました。

これらを通じて、「1 人でできることが大きく変わりつつある」と実感しました。そして、「1 人 + AI でどこまでいけるのか」という可能性に挑戦したい、と思うようになりました。

こうして「ThinkSpace AI ネイティブ化 3 ヶ月チャレンジ」が始まりました。3 ヶ月で、これまで作ってきた ThinkSpace を AI ネイティブなプロダクトに変えられるか、というチャレンジです。

ThinkSpace の目指す方向の転換

やってみて分かったのは、ThinkSpace を「AI ネイティブにする」とは AI 機能を足すことではなく、AI に任せる部分と人間に残す部分を切り分け直すことだった、ということです。その切り分けの結果が、看板の掛け替えでした。

この 3 ヶ月で、ThinkSpace の看板を「すごいアイデア帳 / 次世代マインドマップ」から「AI 時代の、理解と意味付けの場」に変えました。ここで言う「理解」とは、きれいな成果物が残ることではなく、自分の中に理解が残ることです。

理由は 3 つあります。
ユーザーが評価してくれていたのは発想支援ではなく、書き出して並べながら考えられることだったこと。
書き出せば頭は空くが、意味をつける工程まで AI に任せると理解は残らない、と自分の体験と学習理論の両方から説明できたこと。
そして AI が代行を進めるほど、自分で理解するという仕事こそが残ると考えたこと。
順に書きます。

看板と実態のずれ

ThinkSpace は、私がこれまで作ってきた iPad、iPhone、Mac で使える思考アプリです。シリーズ累計 100 万 DL で、日本ユーザー比率は半分以下、アメリカ、中国、ヨーロッパ、東南アジア、サウジアラビアなど複数の国に利用が広がっています。App Store 上では「すごいアイデア帳」「次世代マインドマップ」として名乗ってきました。

DL 数は積み重なってきた一方で、取り巻く環境は大きく変わりました。生成 AI によって一般的なアイデアは大量に生成できるようになり、AI がマインドマップを生成する機能を持つアプリも増えました。ストアのデータでも、2025 年度の年間 DL 数は 2024 年度より増えたものの、その多くは組織向けの一括配布で、ストアのインプレッション自体は減っていました。Google トレンドでは、日本の「マインドマップ」の検索は 2024 年のピークから約半分になる一方、「ジャーナリング」「内省」「brain dump」といった、自分の頭の中を扱う語彙が伸びていました。

そこで、このアプリが前提にしている設計をすべて疑うことにしました。
そもそもマインドマップ・発想支援ツールであるべきなのか。生成 AI がこれだけ普及した今、発想支援ツールは必要ないのではないか。そこからスタートしました。

レビューに書かれていた使い方

ユーザーが ThinkSpace を実際に何に使っているのかを、App Store のレビューから読み直しました。
面白いことに、マインドマップアプリと名乗っていたにもかかわらず、高評価のレビューで褒められていたのは「マインドマップではない使い方ができること」でした。

「放射状の構造しかないマップソフトではない」
「マインドマップは思考を整理するテンプレートがマインドマップのみに固定されてしまい、脳内の思考を一度そのフォーマットに落とし込む余計な手間がかかっていた」
「自分に合うのは、関係性を考えながら同時に構造化するマインドマップ系ではなく、情報の断片をとにかくいったん付箋に書き出していき、後で関係性を見出してつないでグループ化する方法だった」

最後のものは、30 年以上思考整理ツールを渡り歩いてきたという方が 2022 年に書いてくれたレビューです。人物相関図、旅程、議事録、漫画のコマ割り、脱出ゲームの設計図。レビューや X で見かけた用途はばらばらでも、繰り返し語られていたのは同じ動きでした。カードをガッと貼り出す、手書きで書き殴る、いくつかのカードを線で結ぶ。綺麗なマインドマップを作ったという話は、レビューの中にはほとんど出てきません。

昔ユーザーインタビューした IBM の PM の方の言葉も思い出しました。「頭の中を全部カードにダンプする。それらを並べて、昼休みに俯瞰して眺める」。嬉しそうにそう語ってくれていました。

この使い方は、ThinkSpace のユーザーだけのものでもありません。日本で半世紀以上前に生まれた KJ 法も、頭の中をカードに書き出して並べるところから始まります。サム・アルトマンも David Perell のポッドキャスト「How I Write」で、スパイラルノートに考えを書き出し、ページを破って机に並べ、複数のページを同時に眺め、終わったら捨てる、と話しています。私はそれを、ノートは保存するためではなく、その場で考えるための道具だ、という意味に受け取りました。

自分はいつ使っているか

自分自身の使い方も振り返りました。いろいろなことに手を出した結果、やることや考えるべきことで頭がいっぱいになった時。あるいは AI チャットと夜通し対話して、新しい情報が一気に入ってきて頭がパンクした時。そういう時にカードへ全部吐き出し、並べたり囲ったりして構造をまとめていく。その中で頭がすっきりし、次にやることが明確になる。対外的に推していた「ブレインストーミング」や「綺麗なマインドマップ」の作成には、ほとんど使っていませんでした。

ThinkSpace の実際の画面。手書きのカードを「Job」「ゴールデンパス」「結果」の 3 つの囲みに分けて並べたキャンバス。中央の囲みには「ガッと書き出す」「並べる」「俯瞰する」「説明する」のカード
実際の使い方。ThinkSpace のユースケースを考えていたキャンバス。手書きで吐き出してから、囲って並べ直している

ThinkSpace の実際の画面。ChatGPT の回答から作ったカードを手書きのカードと並べたキャンバスの上に、Masicampo & Baumeister の実験を説明した AI の回答がメモで開いている
新しい情報が一気に入ってきて頭がパンクした時。そういう時にカードへ全部吐き出す。情報はメモとして保存する

レビュー、インタビュー、自分の体験。角度の違う材料が、同じことを指していました。人物相関図でも記事の構想でもゲームの企画でも内省でも、用途を問わず評価されていたのは、書き出して、並べながら考えられることでした。発想もその中で起きることはあります。私が看板にしていた「発想支援」では、その広い使われ方を十分に伝えられていなかったのです。

預けていいもの、手放せないもの

書き出すと頭が空く理由

頭がいっぱいになった時に書き出すとすっきりする、というのは自分だけなのか。調べると、認知心理学の側に答えがありました。

人間の作業記憶は有限で、情報を外に置くと認知的な負担が下がる。これは「認知的オフローディング」として研究されています (Risko & Gilbert 2016)。
未完了の課題が頭に残り続ける現象 (ツァイガルニク効果) についても、具体的な計画を立てるだけで侵入思考が減ることが示されています (Masicampo & Baumeister 2011)。
David Allen の GTD が「信頼できる先に預ける」ことを勧めるのも、同じ構造です。

書き出すとは、覚えておく負担を減らし、考えることに頭を使えるようにすることでした。未処理の在庫で作業記憶がいっぱいになり、人はそれをどこかに吐き出したくなる。そして在庫が増えるスピードは、AI 時代に急速に上がっています。

AI にまとめさせた時の素通り感

では、大量に出てきた情報を、自分で構造化せずに、そのままチャット AI にまとめさせればいいのではないか。

実際にやってみました。長くなったチャットログを整理させ、1 枚の Markdown にする。きれいなまとめはできました。ところが、それが自分の頭を素通りしていく感じで、すっきりしない。カードに吐き出して並べた時の、次にやることが見えてくる感覚がない。何か大事な工程を飛ばした、自分の中は何も変わっていない、そういう感覚でした。

この 2 つの違いは何か。学習理論の側に説明がありました。Wittrock の生成学習理論は、学習を「新しい情報と既有知識の間に、学習者自身が関係を作ること」と定義しています。
Mayer の SOI モデルはこれを、選択・組織化・統合の 3 つに分解しました。入力から関係ある情報を選び、一貫した構造に組み、既有知識と結びつける。

AI にまとめさせた時の私は、きれいな構造を受け取ったことで、選び、組み立てる工程まで済んだ気になっていました。実際にはその工程は AI の側で起きていて、私の中では起きていなかった。
カードに書き出して並べていた時は、選ぶのも組むのも自分でやっていた。違いはそこでした。

誤解のないように書くと、手を動かさなければ理解が起きない、という話ではありません。Mayer 自身が、外から見える操作と、本人の中で起きる意味の構成を区別しています。AI が作った図を見て「自分の経験と同じだ」「ここは違う」と考えれば、本人の中で関係づけは起きます。残したいのは手作業ではなく、本人が意味をつくる過程です。
自分の言葉で書き出す (要約)、並べて結ぶ (マッピング)、説明し直す (自己説明) は、いずれもその過程を起こす方法として研究されています (注)。

前の章で見た使い方は、この 2 つで説明できます。ダンプは在庫を外に預けること、並べて眺めるのは意味を自分でつくること。ユーザーは理論を知らないまま、最初からその両方を実践していたのです。

この章の結論です。
「覚えておく仕事は預けていい。自分の中で意味をつくる過程は、手放してはいけない。」

※ 学習理論の知見がそのまま内省に当てはまるかは、まだ仮説です。ただ、内省も「自分の経験に自分で意味をつける」行為なので、同じ仕組みに乗ると考えています。

(注) 自分で生み出した情報の方が記憶に残る生成効果 (Slamecka & Graf 1978)、理解を促す 8 つの学習活動 (Fiorella & Mayer 2015) を参照。後者にはマッピングと自己説明が含まれます。

AI 時代に残る仕事

ChatGPT や Claude がこれからどう進化するかを考えると、最終的には人間の活動全体を代替する方向に向かうのだと思います。
どんな作業も考え事も全部私が代行します、あなたは珈琲でも飲んでいてください、そういう世界観です。便利さが勝つビジネスの論理では正しい進化だと思いますし、私も仕事では徹底的に活用しています。

その世界でも残るものがあります。AI が説明や判断や問いの候補を生成しても、それだけで本人が理解したり、自分の価値観として引き受けたことにはならない。
前の章の結論そのものです。理解は本人の中でしか起きません。AI はそれを助けることはできても、代わりにやることはできない。

ここから先は戦略としての仮説ですが、AI で情報を得る速度と自分が消化する速度の差が広がるほど、理解を支援する場の価値は高まると考えています。
「看板と実態のずれ」の章で書いた「AI チャットと話しすぎて頭がパンクした」が、まさにその構図でした。

そして、ThinkSpace の形はこの仕事に向いています。まとまっていなくても断片のまま置ける。並べ替えたり線で結んだりしながら関係を試せる。
全体を眺め、考え直す対象として残せる。AI はここでは代行役ではなく、預け先 (書き出しの入口) と補助 (説明の相手、下ごしらえ) です。
AI機能を作る時の判断軸も、ここで明確になりました。「その機能は、本人が意味をつくることを助けるか」。

ピボット

こうして方向が決まりました。「発想支援・マインドマップツール」の看板は下ろし、AI 時代に自分で考え、まとめ、理解が残る場にする。「アイデア帳」から「AI 時代の、理解と意味付けの場」へ。
これはピボットのように見えて、実は原点でもありました。「頭の中を全部カードにダンプして、並べて、眺める」。ユーザーが語ってくれていた、最初からあった使い方です。
マインドマップやアイデア出しの機能はなくなるわけではなく、補助に回ります。

この方向は、初回起動の案内にもそのまま書きました。「頭の中を、全部出す」「動かすと、見えてくる」、そして最後に「頭の中がいっぱいになったら、書き出して、並べて、眺める。」。この一行が、新しい看板です。


8.0.0 の初回起動の案内

そこから、2 つの機能が生まれました。書き出しの入口を広げる「AI から送信」と、今は AI がなんでも説明してくれるなら逆にこちらが説明するのはどうだろう、という観点から生まれた「説明する」です。

作った 2 つの機能

この 3 ヶ月で作った機能は複数ありますが (一覧は記事の末尾に)、ピボットの方向を代表するものは 2 つあります。

AI から ThinkSpace へ送る

「看板と実態のずれ」の章で書いたとおり、長いチャットで出てきた内容をカード化して並べると、頭の中が整理され、新しい問いやアイデアが浮かぶ、という経験がありました。ただ、そのたびに会話からテキストをコピーして貼るのは面倒です。

そこで、AI から直接送れるようにしました。
ThinkSpace 側を MCP サーバーとして公開し、Claude Code や ChatGPT、claude.ai であるテーマを深掘りした後、
「これ、ThinkSpace に送って」と言うだけで、ThinkSpace の受信箱に届き、カード化することができます。
最初は Mac 上で動くローカルの MCP サーバーでしたが、9 月末にリモート (Cloudflare で認証してバックエンドに投函する方式) に移し、
Mac 版アプリを立ち上げておく必要もなくなりました。


ChatGPT で「これ、ThinkSpace に送って」→ 受信箱に届く → 「Canvas へ追加」でカードになる

送った後は、並べる、囲う、意味付けする、俯瞰する、後日見返す、という作業が ThinkSpace 側でできます。
学習理論の側から言えば、これは Fiorella と Mayer の「マッピング」に当たります。

ThinkSpace の実際の画面。「ジェボンズのパラドックスとは」というカードを選択し、その AI 回答がフローティングのメモで開いている。周りにはソフトウェア需要についてのテキストと手書きのカード
ChatGPT とのやり取りをカードにして、並べて俯瞰しているところ

問いの力が大事だとは最近よく言われますが、どうやって問いを生むのかはまだあまり語られていません。
私の実感では、問いは、自分の理解にギャップがあったり、正しい情報が欠けていたりする時に生まれます。
カードを自分で並べて構造にする作業は、そのギャップが見える作業でもあり、問いを生む土台になっていると感じています。

説明する

もう一つは「説明する」機能です。キャンバスを見ながら声に出して説明すると、その場で文字起こしされてテキストになります。


ThinkSpace のユースケースを手書きで整理したキャンバスを見ながら、声で説明しているところ (音声あり)。話した言葉がその場でテキストになり、最後に AI が整形する

説明するためには、頭の中の考えを一本の線に組み直さなければなりません。その変換が理解を深めます。理解が不十分な箇所も、話してみると分かります。Fiorella と Mayer の 8 つの活動で言えば「自己説明」と「教える」に当たります。

副次的な効果として、説明した言葉がテキストになるので、そのまま LLM に渡す入力やコンテキストになり、他のアプリにも持っていけます。ThinkSpace のヘビーユーザーは手書きが多く、手書きの内容を後続の AI との対話へテキストとして引き継ぎにくい、という課題が長くありました。説明する機能は、その解決にもなっています。

文字起こしは Apple 標準の SFSpeechRecognizer で、対応端末ではオンデバイス認識を優先しています。音声を端末の外に出さず、長い説明も途切れずに取れるようにするためです。

変わったのは開発者

ThinkSpaceのAIネイティブチャレンジと言いながら、プロダクト自体は、AIに任せすぎない方向へ、逆に舵を切りました。

一方で、「AIネイティブ」に変化したのは開発者自身でした。

まず、これはエンジニアならすでに実感していることかと思いますが、
一行もコードを書かなくなりました。コーディングにはClaude Codeを使っています。

24万行コードを書いていた日々はなんだったのかと思う時もありますが、
その時に適切に設計しておいたおかげで、コーディングエージェントへの依頼がモジュール単位で
既存構造を壊さずにスケールできるようになりました。
他のプロジェクトでは、エージェントに書かせて負債化したコードも見てきましたが、
この点はよかったです。
また、自分のこうしたい、ああしたい、が即座に機能となり試せるのは、素直に嬉しいです。
プログラマーとしての自分には正直物足りないけれど、プロダクトオーナー、プロダクトビルダーとしての自分は満足してる、
そんな感じです。

また、コーディング以外の領域の仕事のしかたもガラッと変わりました。

fastlaneとClaude Codeを連携させて、App Storeの説明文翻訳を自動化

これまで各言語を翻訳してApp Storeで設定して、といった 25 言語分の手作業が消えました。

App Store Connect API と連携させて、DL数のトレンドや国別の傾向を把握

直近のダウンロード減少の正体が検索表示の減少で、転換率は 20 か月不変だった、という発見がありました。

レビュー分析

特に英語圏において、規約のレビューが多いことがわかり、
中身を深掘りすると、日本語版をそのまま英訳したせいで、現地の文化の人に違和感のある条文になっていることがわかりました。
より英語圏で誤読の起きないように規約を変更しました。

匿名のメタ情報の分析

匿名化された利用情報 (内容は含まず、操作の種類と回数、何日後に戻ってきたか) を、
読み取り専用の権限で集計して分析しました。28 日再帰率は 30% で、キャンバスの 7 割は作成した当日しか使われていない、という実態が見えました。
こういったデータドリブンの分析と意思決定は、組織では専任のグロースハッカーが担う仕事で、以前の自分には十分に時間を割けませんでした。
それが個人でできるようになったのは本当に大きいです。

Claude Design

ストアのスクリーンショットなどは特にセンスが問われる場所で、どんなコンテンツを見せるか毎回悩んでいました。
Claude Designにプロダクトの価値が伝わる案から考えさせることで、ストアのスクリーンショットも大きく改善されました。
これも、以前は自分だけではここまで詰められなかった、プロのデザイナーの領域の仕事です。

ローンチ計画管理

このローンチ計画自体も、Claude Code上でmdファイルで管理しています。
Claude Codeでのやり取りで決まった計画をファイルに書き出し、終わったらチェックをつけていきます。
そして、確定させた戦略もmdファイルを更新させて行っています。
Claude Codeは、いわば共に歩む自分の相棒のような役割です。

1人の個人が、組織にいるプロダクトマネージャー、エンジニア、デザイナー、マーケターのような、それぞれの役割でプロに近い水準の仕事を、AIと一緒にできるようになってきました。

ただ、振り返ると、一番大きく変わったのは「できる職能が増えた」ことではありません。
この記事の前半でやったこと、市場の数字を見る、ユーザーのレビューを読み直す、自分の体験を理論で捉え直す、製品の存在理由を疑う、そして何を作るかを決める。これらはどれも、以前は機能を作るだけで手一杯で、手が回らなかった仕事です。それが、AI と一緒に、1 人で、しかも 3 ヶ月の中で回せた。
職能が 1 つずつ増えたというより、それらをつなげて、製品の方向を自分で決めて動かせる範囲が広がった。それがこの 3 ヶ月で起きた変化だと思っています。

開発者の作業風景。モニターにはコードが表示され、手前では iPad に手書きで考えを書き出している
今の仕事の風景。コードを書く時間が、考える時間に変わった

これから

ThinkSpace は、ピボットした方向に沿って機能を作っていきます。
次に着手するのはClaude Codeのプラグイン化やCodex対応などです。
他のサービスや AI との連携も広げていきますが、AI の役割は変えません。
人間の理解を中心に置き、AIはそれを支援する。その線は守ったまま、AI の支援を厚くしていきます。

3 ヶ月チャレンジは、ThinkSpace に閉じたものではありません。
変わったのはプロダクトより開発者の側で、その変化はどの領域にも持ち込めます。
次は別の方面でも、1 人 + AI でどこまでいけるかを試すつもりです。

3 ヶ月で作ったもの

本文で触れた 2 つ以外も含め、この 3 ヶ月で作ったものの一覧です。

月作ったもの
7 月AI 質問の拡張 (フォローアップ、質問カード生成、構造化投入) / 囲って Canvas 化 / 選択カード UI の刷新 (フローティングツールバー、色とタグ) / メモからの AI 深掘りとカード化 / 文章からカード候補を抽出 / ペーストとドロップの AI 選択肢刷新 / ドラフト (オンボーディング) の iPhone 対応
8 月7.1.0 リリース / ドラフトのテーマ拡充と 20 言語翻訳 / 「カードにする」(先頭一文 + 原文メモ) 操作 / ウェルカムシートとタグライン
9 月「説明する」(オンデバイス文字起こし、プレビュー、AI 整形、説明一覧、Mac 対応) / 受信箱と AI 連携 (MCP サーバー公開 → リモート化。Claude Code / ChatGPT / claude.ai から送信、ShareExtension から受信箱へ) / 音声操作と AI 回答の読み上げ (TTS) / 音声メモ / カメラから画像カード / ペーストボタン / 問いカードの 2 段構成マスタ / 手書き風フォント 2 種 / ドラフトに「ジャーナリング」テーマ / 29 ロケールの文言を全面監査
筆者は、AI と集めた考えを自分の手で地図にする思考ノートアプリThinkSpace を作っています。